あさりのいろは

あさりはどんな貝?

殻長4cmほどの二枚貝で、貝殻の模様は横しまや様々な幾何学模様など非常に変異に富み、同じ模様をした個体はいないほどである。ただし北海道の個体は大型で、貝殻には目立った模様がなく、一様に黄褐色がかった色をしている。
日本、朝鮮半島、台湾、フィリピンまで広く分布する。汽水状態を好み、成貝は海岸の潮間帯から干潮線下10mほどまでの、浅くて塩分の薄い砂あるいは砂泥底に分布する。
底質の選好は、稚貝は底質の泥率8%~30%(泥分少ない方が良い)、成貝はは砂質か泥質20~30%、水中の有機物量の目安となる強熱減量6~12%・COD15~45が目安とされている。

あさりはどんなところにすんでいるの?

アサリは内湾の干潟など、河川水の影響などで塩分がやや低めの、砂・泥の海にすんでいます。また、水深が5、6mよりも浅いところに多くすんでいます。
愛知県のあさり漁獲量は2003年をのぞき毎年1万トンを超え、全国シェアの約3割を占めています。県内各地の漁場に放流する稚貝のうち、9割以上が三河湾の六条潟産です。三河湾六条潟のあさりは、豊川上流からミネラルたっぷりの水と良質な砂が流れ下ってくる限り、毎年春先からザクザクあさりが捕れることでしょう。六条潟のあさり資源は、確実に回復に向かっています。
逆に全国のアサリ漁場では、稚貝の発生が年々少なくなっており、益々六条潟への依存度が高まっています。

あさりはどうやって増えるの?

アサリの寿命は8から9年といわれ、殻の長さ(一番長いところ)が最大7cm位までになりますが、普通みられるのは大きくても5cm位までです。
三河湾では生まれて半年位で2cmくらいになり、親になって卵を産めるようになります。生まれて1年たつと3cmを越え、食用サイズになります。
水温が適した春や秋には成長が早くみるみる大きくなります。特に春の潮干狩りシーズンには「一潮」(ひとしお:大潮から次の大潮まで)でかなり大きくなるので、小さなアサリは逃がしてあげましょう。

あさりは何を食べているの?

アサリは水の中の小さなプランクトンや生物の破片などを「えら」でこし取って食べています。
アサリだけでなく、二枚貝には「入水管」、「出水管」と呼ばれる2本の管があり、これから水を出し入れして砂の中に潜ったままでエサを含んだ水を取り込んでいます。
アサリが水をこす(ろ過する)量はかなり多く、しかもアサリが食べられないような汚れも粘液で包んで排出し、それはヤドカリ等の他の生物が食べます。そのため、アサリが多くいる干潟は、海水をきれいにするのに大変役立っているのです。

あさりの模様はどうして出来るの?

アサリの殻にはいろいろな模様が入っています。貝に限らず同じ種類なのにこれだけいろいろな色や模様がある生物は珍しいともいえます。
アサリの色や模様には一定のパターンがあり、基本的には全国どこでも同じ色、模様のアサリがいます。しかし、色や模様は遺伝することがわかっており、そのためその比率には地域差があり、場所によって多い色、模様があります。また、泥の多いところにいるアサリは、硫化物によって殻が一様に黒くなったり模様が消えてしまったりします。
二枚貝は、「ちょうつがい」のある殻のてっぺん(ここが子供の時の殻)をもとにして、内側から少しずつ殻を継ぎ足して成長します。そのため、複雑な模様のアサリも遺伝子に出来上がりの模様が組み込まれていて、これをもとに少しずつ模様を継ぎ足してあの規則正しい幾何学模様を作っているのです。

あさりのおいしい時期は?

アサリは春と秋に太ります。これは産卵期で産卵のために栄養をため込み、また卵などを作る生殖腺が大きくなるためです。特に水温が上昇してくる春はエサを食べてどんどん太るため、1年中で一番おいしいアサリが食べられます。

あさりの大敵!苦潮、青潮

三河湾は、日本一のあさり産地です。日本列島のほぼ中央に位置し、広さ604平方キロメートル、平均水深9.2メートルの浅くて極めて閉鎖性の強い湾でもあります。
1970年代から港湾施設建設のための埋立や浚渫、河川の人工化などの影響で汚濁が進み、恒常的な苦潮(赤潮)の発生とあさりを死滅させる青潮に苦しんでいました。
1990年代から、国や県も様々な対策を実施し始め、2005年頃から青潮の六条潟のあさりへの影響が薄らぐようになりました。

あさりはどうやってとっているの?

  1. 漁業 
    漁業では、アサリは「マンガ」と呼ばれる道具で採っています。
    これはクシ状の鉄の歯のついたかご網に木の柄をつけたもので、船の上などで使う柄が長くかごの小さなものと、海に入って使う柄が短くかごが大きいものとがあります。これで採った海底の土砂を「ふるい」に開けてアサリを選り採るのですが、小さなアサリは採らないように「マンガ」と「ふるい」の網の目の大きさは決められています。
    漁師さんは「アサリの目」とも呼ばれる水管を「のぞきメガネ」で見てアサリが多いか少ないかを判断しています。船から採るより海に入って採る方が楽だと言われますが、海に入って採る場合でも深いところでは「げた」と呼ばれる「きゃたつ」のような鉄のはきものを足に付けて竹馬に乗ったようにして漁をします。 
  2. ポンプ漁法
    大型船に専用のポンプをつみ、そのポンプの水圧を利用し、海底の土を吹き上げて貝をかき出し、大きなかくわを引きずり採取する方法です。
  3. 潮干狩り
    アサリ採りというと潮干狩りを思い浮かべますが、本来全国のアサリは「漁業権の対象種」(畑の中の野菜のように漁師さんだけが採っても良い生物)で、本来は漁業者しか採ることができません。
    しかし、三河湾では潮干狩り場として開放している地域が多くあります。このように自由にアサリを採れる場所は全国的にも珍しいといえます。
    潮干狩りでアサリを採る場合、ほとんどのアサリは砂のすぐ下に潜っています。砂を深く掘るより、浅く広くさぐった方が良いでしょう。アサリは一面に同じようにいるのではなく、場所によってたくさんいたり少なかったりします。少ないところではいくらがんばっても採れません。早くたくさんいる場所を見つけることが大事です。

全国的にあさりがとれなくなっている!が、三河湾では・・・

1990年を栄えにアサリは全国的に減っています。が、三河湾では2003年ごろから増えてきています。
九州の有明海などでたくさんとれていた1980~85年以前には全国で12~16万トンだった漁獲量が、最近では1/3~1/4の4万トン前後に激減しています。そのため、最近では韓国、中国、北朝鮮などの外国からアサリを輸入して、年間10万トン以上といわれる国内需要をまかなっているそうです。
浜名湖では、高塩分化でアサリの漁場が拡大し、漁獲量が増加した1981~82年には8~9千トンの漁獲がありましたが、近年は全国と同様1/3~1/4の2~3千トンに減っているそうです。
アサリ減少の原因については全国それぞれの地区で意見が異なり、沢山採りすぎた為だとか、埋め立てなどの開発でアサリがすんでいる干潟がなくなり、漁場に泥が流入し、害敵に食べられたのではないかと言われていますが、正確にはわかっていません。
浜名湖では、湖南部の潮流が速すぎてアサリ稚貝が流され、ツメタガイなどの害敵に食べられたのではないかと疑われていますが、まだはっきりとしておらず、現在も調査をしているそうです。
三河湾では、良質な漁場が整ってきたのか2003年頃から回復の兆しを見せ初めております。今後の漁獲高にも期待をしております。